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TPPへの交渉参加か不参加か

現在、わが国で最もマスコミを賑わせている問題は、TPPへの交渉に参加するかしないか、という問題だ。
この問題については、一面だけがクローズアップされて報道されており、その全体(21の交渉分野の全体像)がきちんと政府もマスコミも解説していないことが、私は大きな問題だと思っている。
賛成派、反対派、そして、傍観派のいずれにしても、全体像のうえから論じている主張はほとんど見当たらないように思う。

経団連は賛成派、農業や医療関係者は反対派という構図は見えているが、それ以上に、全体を俯瞰した主張がなかなか聞こえてこない。
それでは、どちらも自分の立場だけで主張しているだけにしか聞こえない。
そして、肝心の政治家や政党も、そうした全体像を国民に提示する努力に欠けているように見える。
なかには、そういう努力以前に、これだけ国論を二分している重大問題にもかかわらず、自身の定見を持たずに「難しい問題です」と繰り返すしか能がない政治家や、「どうなるのか成り行きを見守るだけ」という、事なかれ主義のような日和見的議員がちらほら見えるのは、残念至極だ。

こういうときこそ、日本の将来像まで俯瞰して、国論をリードするような構想力をもち、国民に提示する力を持つべきではないのか。
そういう議論が、今、このときに出てこないのは、真に国の行く末を考え、憂いている人材がもはや欠如しているのではないか、と思えてしまう。

確かに、政治家は目先の票のことを考えて、賛成・反対のどちらにも軽々に組することは難しいのは、それなりに理解はできる。
しかし、そういうことにひきずられて、全体観や将来ビジョンを持たない、あるいは言えないのでは、「全国民の代表」と憲法に規定されている国会議員のあるべき姿とはいえないのではないか。

野田首相は、あさっての10日にTPP参加問題に対する記者発表を予定しているが、それまで時間だけがむなしく過ぎているように思えてならない。
首相というのは、いうまでもなく、国の最高責任者だ。最も責任のある立場だ。
それが、10日まで自身の考えを述べず、議論の行く末を黙って見守るというのは、責任を果たしていることにはならないと思えてならない。

韓国の李明博大統領が、ヨーロッパやアメリカとの自由貿易協定(FTA)交渉を妥結に導いた。だから、TPPには参加しないのだが、韓国内では今、そのFTA批准をめぐり、反対運動が激しく繰り広げられている。
しかし、同大統領は「信念でやっている」と明言したというではないか。
政策の善悪を越えて、国民の反対があってもあえて自身の信念を持ち、その信念にのっとって行動する政治家は、わが国にはいないのか。
TPP問題は、産業の個別の問題点だけではなく、わが国の政治状況の問題点をも露呈しているように思う。

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