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NHK「あさイチ」のアトピー治療に思う

今朝のNHKの「あさイチ」は、アトピー性皮膚炎の治療法について取り上げており、その解説者として出演されていたのが、国立成育医療センターの大矢幸弘先生でした。
実は以前、私が教育雑誌の編集をしていたとき、特集で「こう変わったアトピー性皮膚炎治療」を取り上げたことがあります。そのとき、この大矢幸弘先生に指導・監修をしていただいたのです。

2年前の2009年7月号の『灯台』という教育雑誌に、その内容を掲載したのですが、今朝のNHKのアトピー治療の話では、その内容の一部が紹介されておりました(わずか数十分の番組なので、『灯台』で掲載されているような詳しい治療法をすべて紹介するのは無理なのだと思います)。
アトピー性皮膚炎を発症した人は、子どもも大人も多くの方がいまだになかなか治らなくて悩んでいる方が多いようです。
ところが、大矢先生にいわせれば、「EBM(根拠に基づいた医療)に沿った治療をきちんとおこなえば、症状もよくなりかゆみもなく普通にきちんと暮らせるようになります」とおっしゃっています。
では、なぜ「症状もなくかゆみもなく普通にきちんと暮らせるように」ならないのか。その理由の1つとして、大矢先生は「的外れな情報に踊らされ、いわゆる『アトピービジネス』に取り込まれてしまった」という人もなかにはおられるとおっしゃっています。
では、どんな重症なアトピーでも治るのでしょうか?
大矢先生は、こうおっしゃっております。
「アトピー性皮膚炎は、どんなに重症で入院した人でも、公的保険の範囲内の治療で症状をコントロールできる、つまりアトピー体質でも何の症状にも苦しむことのない状態を保てる病気であり、私たちの病院(国立成育医療センター)では、常にそうした治療をおこなっています」と(『灯台』2009年7月号より)。

アトピー性皮膚炎については、日本皮膚科学会が「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」を発表しており、これは、ネットでも公開されているので、興味のある方は検索してご覧ください。
アトピー性皮膚炎などのアレルギーは、体質の問題もあるので、「完治」することはできないといわれております。しかし、完治はできなくても、適切な治療によってアレルギーが出ないように「コントロール」がすることができる病気なのです(ここのところは誤解のないようにしてください)。
そして、日本皮膚科学会の診療ガイドラインに沿った治療をおこなえば、大矢先生がおっしゃる通り「どんなに重症」であっても、「何の症状にも苦しむことのない状態を保てる」ようになります。
問題は、この診療ガイドラインに沿った治療をおこなっていない病院や医者が、まだまだ少なくないことなのです。


なかには、この診療ガイドラインの存在すらしらずに、誤った治療法をおこなっている医者もいると聞きます。

このアトピー性皮膚炎を1つとっても、このように正しい医療情報が日本全国の医者や病院にいきわたっていない、という実態があります。
おそらく、アトピー性皮膚炎以外のさまざまな病気についても、そういうことがありうると思っております。

その1つに、白血病の治療方法として、「さい帯血移植」に関する誤解があります。
このことについては、「日本さい帯血バンク支援ボランティアの会」代表の有田美智世さんから直接、何度もお話しをうかがったことがあります。
「さい帯血」とは、ご存知の通り、へその緒(さい帯)と胎盤に含まれる血液のことです。この血液のなかには、造血幹細胞が多量に含まれており、白血病などの血液の難病や重い遺伝病などの移植治療に有効であることが、すでに実際の治療でも証明されております。
白血病の治療法といえば、このさい帯血移植よりも骨髄移植のほうがよく知られています。しかし、さい帯血移植には骨髄移植に比べていくつかのメリットがあるのです。
 まず第一に、骨髄採取はドナー自身も全身麻酔を受けて入院して行ないますが、さい帯血は安産の結果として得られるものなので、提供者に身体的負担がありません。
第二に、骨髄移植はドナーと患者のHLA(ヒト白血球型抗原)が完全に一致していないと行うことができず、さらに完全に一致した場合でも移植後の生体の拒否反応が強いのです。これに対して、さい帯血は完全に一致しなくても移植できるうえ、拒否反応も弱いのです。
 有田さんは、この「さい帯血移植」を日本に根付かせるために尽力し、「公的さい帯血バンク」が設立されるまでボランティアで闘ってこられた、「日本のさい帯血の母」なのです。
この有田さんが嘆いておられるのが、「白血病は決して治らない不治の病ではない。さい帯血移植を適切におこなえば、死ななくてもよい患者がいる。ところが、医者のなかには、さい帯血移植のことをよく知らなかったり、あるいはは『さい帯血移植は子ども向け医療だから、大人には向いていない』などと間違ったことを平気で言う医者が少なくない」ということです。

医療情報を日本全国の医者がきちんと共有し、日本のどこに住んでいていも、どの病院のどの医者にかかったとしても、適切な医療を受けられるにようにすること――これは、医者の責務であるとともに、政治の1つの課題でもあるなあ、今朝の「あさイチ」を見て、改めて思いました。

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