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NHK「日曜討論」の「衆院・解散論争」

NHKの「日曜討論」の本日のテーマは、「今回の衆議院解散は、是か非か」という内容でした。
「是」とする識者3人と「非」とする識者3人による討論がおこなわれ、私も最初は興味深く見ておりましたが、途中から「非」とする識者の言論が少々感情的な批判になり、知性に耐えられないものに聞こえてきて、チャンネルを変えてしまいました。

さて、今回の衆議院の解散は、当初から政権に批判的なマスコミは野党の言い分をそのまま大見出しにして「大義なき解散」と批判を展開しました。
なかには、「選挙費用が640億円もかかるので税金の無駄遣いだ」という批判まで飛び出しました。
この番組での解散に批判的な識者の論調も、そうした批判と軌を一にしたものであり、「おお、そうか、なるほど」と思わせるような説得力のある論理は見られませんでした。

逆に、今回の衆院解散を「是」とする識者の論調も、特に目新しいものはありませんでした。
その主な内容は、これまでの衆院解散の歴史をひもときながら、今回を除く過去23回の衆議院の解散のほとんどは、時の総理がもっとも有利になる時期を見計らって解散をおこなってきたものであることや、そもそも憲法によって内閣、特に内閣総理大臣に解散権が与えられたものであること、あるいは、本来野党は政権を失った瞬間から、政権奪取のために解散を求めるべきものであり、その野党が解散を拒む道理はない、などというものでした。

私自身は、日本の憲法下における衆議院の解散というのは、どのような場合に起こり得るのか、という原則論から考えるべきだと思っております。
なぜなら、衆議院の解散の根拠は、まさに憲法によって規定されているからです。
そして、その原則論から考えると、必然的に後者の「是」とする論理に軍配をあげざるをえません。

過去にも、時の総理大臣が、選挙をどの時期におこなえば最も有利になるかを考えて解散がされてきました。
たとえば、1986年、時の中曽根首相は、それまで解散を否定しておきながら衆参同時選挙に打って出たことがありました。この時の解散は「死んだふり解散」と言われました。
逆に、解散すべきだ、と言われながらも解散をおこなわずに時期を引き伸ばした例も、いくつもあります。

つまり、時の首相にとって、解散を制約する憲法上の制約は何もないのです。
あるとすれば、政治的な駆け引きのなかで、どう判断するか、ということのみなのです。
過去におこなわれたすべての解散について、「大義なき解散」だとか、まして「選挙費用の無駄遣いだ」という批判がされたという記憶は私にはありません。

ただ今回の解散について、私が違和感を覚えたのは、あまりにも唐突だった、ということです。
その唐突さが「逆桶狭間の奇襲戦法」という批判に結びついているのだと思います。

ただし、この「逆桶狭間の奇襲」という言葉は、私に言わせれば、安倍総理の戦略的勝利という側面をも言い表していると思います。
ともかく、今回の解散は、日本の憲法下における法制度上は、憲法違反でもないし、もちろん違法な行為でもなく、批判されるようなものではない、としか言いようがありません。
つまり、法的にはなんら批判の対象とはならないものである以上、この解散に対する「是か非か」という評価は、つまるところ政治的評価にすぎないものであり、それはまさしく政治的立場によって、賛否両論のいずれかに分かれるものになる、ということです。
ですから、この解散に対する是非については、結局のところ、安倍政権に批判的立場の人は「非」という見解になるし、肯定的立場もしくは批判的立場ではない人は「是」ということになる、ということです。

ということは、批判的な人にとっては、最初に述べたように、感情的な部分が多分に含まれているので、法的な理屈は受け入れないでしょうし、感情的に批判するがゆえに冷静な議論にもなりにくい、ということです。
(当たり前すぎる結論になってしまいましたが、そういうことです)

ちなみに、選挙費用が640億円もかかる、という批判がありますが、これに対して一言いっておきたいと思います。
私の住むさいたま市でも、衆議院選挙に限らず、参議院選挙でも市議会選挙でも市長選挙でもそうですが、どの選挙でもあっても数億円もの費用がかかります。
その理由として、有権者に投票整理券を郵送する費用や、本番ポスターを掲示するための看板を製作したり設置する費用や、投票立会人や開票立会人に支払う報酬など、さまざまな経費が選挙では発生するからです。

日本全国には、約1700もの自治体があります。
全体では640億円かかるといっても、1700の自治体で単純に割れば、3765万円になります。
もちろん、さいたま市よりも大きい都市もあれば、小さい都市もたくさんあります。
ただ、さいたま市だけでも2億円や3億円もの費用がかかるわけですから、1700もの自治体でおこなう選挙の費用をすべて合算すれば640億円になるのは、当たり前のことなのです。

もしも、通常であれば100億円ですむところを、衆議院選挙だけが640億円もかかっている、というのであれば、「税金の無駄遣いだ」という批判も納得できますが、そういうわけでないのです。
ですから、衆議院の総選挙の費用が640億円もかかる、と批判をする人に対しては、「では参議院選挙でも640億円かかるし、そのほかの地方選挙でも、それぞれの自治体でかかる費用は、衆議院選挙のときとほぼ同じだけの費用がかかりますが、そういう選挙もすべて、税金の無駄遣いというのですか?」と問いたいと思います。

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