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脳科学的にみた「頭のいい子」の育て方

先日、「活動報告」のなかで、日本が誇る脳科学者・久保田競氏が提唱する脳科学にのっとった子育て論について後日紹介したい、と書きました。
今回は、そのテーマについて論じたいと思います。

よくマスコミなどでは、野球選手のイチローや、ゴルフの石川遼や、あるいは卓球の福原愛選手のように、小さいころから英才教育をしたほうがいいといわれることがあります。あるいは、頭がよくなるほめ方とか、あるいは学力を伸ばすコツなど、さまざまなことがマスコミに取り上げられるたびに、なんとなく真似てみたりすることがあります。
しかし、そうした表面的ないことは、はやりすたりがあるし、何よりも個人差があるので、わが子にあてはまるかどうかはわかりません。子供は千差万別ですから、ある子供にはよかったことでも、ほかの子供にはよくない結果をもたらすこともあります。同じ親から生まれた兄弟でも正反対であることが往々にしてあるぐらいですから。

子育てにおいて本質的に大事なことは、人間の脳がどのように発達するのかを知り、わが子の脳がうまく発達するように親が補助してあげることです。
久保田氏は、その脳科学の視点から、子どもの脳の発達をサポートする子育て理論を構築されました。

では、人間の脳は、どのように発達するのでしょうか?
脳以外の人間の体は、年齢とともにじょじょに成長していきます。筋肉であれば、小さいころは細い腕だったのが、大きくなって鍛えるにしたがい、太い腕に成長します。
ところが、脳だけは違います。赤ちゃんとして生まれたときから、脳の神経細胞(ニューロン)の数は、大人と同じ140億個あるそうです。ただし、神経細胞同士をつなぐつなぎ目(シナプスという)の数は、ほとんどありません。そして、シナプスができずにあまり使われない神経細胞は死んでいきます。シナプスは、0歳から3,4歳までの間に一気に増えます。

そこで、脳の発達段階に応じてシナプスを増やすことが大切だということになります。このシナプスは、それぞれの脳細胞に適切な刺激を与えることによって増えていきます。
まず、生まれたばかりの赤ちゃんは、「触れたものを感じる」皮膚感覚と、「見たものを感じる」視覚野(「しかくや」と読みます。脳のなかの視覚について働く部分のことです)が働いています。手足を動かす運動野(「視覚野」と同様で、「うんどうや」と読みます。運動について働く部分です)も働いていますが、それは自分の意思で動かしているのではありません。また、そのほかの部分は、まだほとんど働いていません。
そこで1歳くらいまでは、皮膚感覚と視覚野を刺激すると、脳の神経細胞を活性化し、シナプスを増やすことができます。その際、ただ単にさわったりするだけではなく、話しかけながらさわる、など複雑な刺激を与えるとよいそうです。
また、赤ちゃんにいろいろなものを見せる際には、目で追えるスピードでものを動かすことも大切です。
さらに、おむつを替えるときも、「気持ちいいね」などと声をかけて気持ち良くなるような刺激を与えてあげるとよいのです。
そのほかにも、赤ちゃんの脳に応じた刺激の与え方はたくさんありますが、その詳細は、「久保田メソッド」と呼ばれる本をお読みください。

問題は、1歳を過ぎたあとの4歳ぐらいまでの育て方です。


先ほど述べたとおり、この年齢までにシナプスの形成が決まりますので、その時期は子どもの知能の発達や運動神経の発達に、とても重要な時期になります。
脳は、2,3歳になると、思考能力や運動能力が飛躍的に発達します。同時に、子ども自身がさまざまなことに興味関心をもちます。

よく子どもが親にしつこいぐらい、いろいろなことを質問したりすることがありますが、それは、だいたいこの年齢の時期です。
実は、そのときに親がいいかげんな対応をしないことが大切です。子どもは、自分が興味関心をもつことに対して、それが満たされれば喜びます。それはつまり、脳が喜ぶということであり、脳にはとてもよい刺激を与えることになるからです。

脳は、関心のあるものに対してしか興味を示しません。そして、自分がやりたいことをやって満足を得られたとき、喜びを感じます。親から何かを見せられたり、やらされても、自分が興味をもてなければ、喜びを感じることはありません。逆に、興味のないことを無理にやらされたら、ストレスがたまります。
実は、ストレスは、脳の細胞を死滅させてしまうことが脳科学によって解明されています。大人でも、ストレスがたまっていると、まともに思考できない状態になりますが、そのとき、脳の神経細胞は大量に死滅させられているのです。
ですから、親が無理やり子どもに何かをさせようとしても、ストレスを子どもに与えて、どんどん頭を悪くさせてしまいます。
子どもが、自分から興味関心をもったものに、親が丁寧にサポートすることが大切なのです。

脳科学から見たら、頭のいい子を育てるためには、子どもが興味関心のあるものに夢中になることなのです。
そのとき、親も一緒に遊んで子供の喜びを大きくしてあげると、なお一層脳の発達にいいことがわかっております。
かつて、久保田競氏の奥さんで、テレビでも「脳科学おばあちゃん」として有名になった久保田カヨ子さんに取材したとき、「子どもがゲームに夢中になって困る」という親の質問に対して、こう答えたのが印象的でした。
「ゲームに夢中になる、というのは、とてもすごい能力です。何かに夢中になるということは、脳の全体が活性化している証拠。お母さんも一緒に子供とゲームして楽しんでごらんなさい。そして、その次にゲーム以外にも夢中になれるものがある、ということを親が上手に子どもに教えて導いてあげればよい。」
という答えでした。本当にその通りだと思います。
実は、私の子ども(長男)は、幼稚園のときからテレビゲームが大好きでした。当時、ゲームをやりすぎると「ゲーム脳」という、偏った脳になってしまう、という誤った学説が広まっておりました(この考え方は、久保田氏も否定しており、いまやこの学説は完全に消えております)。
しかし私は、「子どもの好きなだけゲームをやらせる」と宣言し、子どもが飽きるまでゲームをやらせました。ほうっておいたら、日曜日などは一日10時間以上もゲームをしていました。
しかし、大学生になった今は、ゲームはほとんどやりません。また、ゲームのやりすぎで頭がおかしくなったわけでもありません。心配していた近視にもならず、メガネをかけることもありませんでした。
久保田カヨ子さんが言ったように、「ゲームに夢中になれるのも、すごい能力だ」という言葉を私は、よく理解できます。
子どもは、何に興味をもつかわかりません。そのとき、親は子どもの気持ちに寄り添って、子どもが夢中になるものに自分も一緒に興味をもってみると、子どもの脳は飛躍的な発達をとげるかもしれません。
久保田競氏も、「子供の好奇心にはなるべく応じてあげるようにしてあげてください」「物事に興味をもってなにかをする、というのが、脳にとってなによりもよい刺激になります」「脳は、喜びを感じることによって脳内でドーパミンという物質を分泌し、それがますます脳の神経細胞の発達をうながします」と言っています。
親は、子供の好奇心を注意深く観察し、子供の脳が発達するチャンスをつぶさないようにすることが、親の役割ではないか、と思います。

最後にひとこと。勉強できる子供に育つかどうかは、親自身が「勉強は楽しい」という姿を子供に見せてあげられるかどうかで、決まります。
脳には、「ミラーニューロン」という働きがあり、相手の姿を鏡のように自分でまねてみる働きがあるからです。

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