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子育てにおける「コーチング」

寒い冬の日々が続きますが、そのなかでプロ野球は、沖縄や九州などでキャンプが始まった、というニュースが流れていました。
また、野球やサッカー、あるいはマラソンやテニス、卓球、ゴルフなどのスポーツの世界では、日本人選手が世界のトップクラスの選手として活躍しているニュースが、明るい話題としてマスコミを賑わせています。
そうしたなかで、そういう選手を育成する手法として、かつてのようなスパルタ式ではなく、コーチングと呼ばれる手法が多くの場合で実践されているようです。
そして、このコーチングを子育てにも応用した考えが、ずいぶん前から教育の世界では広まっております。

私がかつて携わっていた教育雑誌でも、コーチングによる子育てについて、さまざまな角度から記事を編集して掲載したことがありました。
そのなかで、人材開発のコンサルタントとして企業の人材育成の仕事をしながら、コーチングを応用した子育てについていくつもの著書を著している菅原裕子さんを取材したことを思い出しました。
菅原さんの書かれた「子どもの心のコーチング  一人で考え、一人でできる子の育て方」(PHP文庫)という本を読むと、子育てこそ、まさに人材育成の手法であるコーチングを用いておこなっていくべきではないかという思いが強くなります。

この本では、タイトルにあるとおり、「一人で考え、一人でできる子」をどうやって育てていくのか、という視点から、そのための方法がわかりやすく書かれています。
子どもをよい子に育てたい、というのは、万人が考えることだと思います。
しかし、そう思いながらも、実際には、子どもに声をかけすぎ、世話をやきすぎて、依存心の強い、自立できない子どもが増えているといいます。
それでは、自立した子どもを育てたいとおもいながらも、逆に自立する力を子どもから奪ってしまうようなことをたくさんていることになります。

スポーツの世界でもそうですが、選手に「ああしろこうしろ、あれをしてはだめ、これをしてはだめ」というように、細かいことをいつも指示するようなやり方では、選手は大きく伸びません。
選手にヒントを与えながら、自分で考えて自分から練習していく、成長していくのを支えていく、というコーチングが重視されるゆえんです。

それと同じく、子育てでも、子どもの将来を思うのなら、自分で考える力、周りの人とうまくやっていける本物の「生きる力」を身につけさせるのが親の務めです。
そのために、この本では、コーチングの技術を応用して、子どもがもともと持っている力を引き出して、「子どもが自分で考え、答えを出せる子ども」に成長していくのをサポートする方法を紹介しています。
「親は子どもをサポートし、才能を花開かせるコーチ」という菅原さんは、私がインタビューしたときも、「子どもに対して親は、あれをやらせよう、これもやらせよう、と思うのではなく、次の3つのことを基本にしていくことです」とおっしゃっておりました。

まず第1に、「子どもを心から愛して接すること」。つまり、親の意思でこう育てよう、ああ育てようと子どもをまるで自分の「所有物」のように考えるのではなく、一個の人格として尊重し、そしてわが子として愛情を100%注ぐ、ということを子育ての土台に据えるべきだということです。

第2に、子どもがするべきことを親が先回りしてしてしまうのではなく、生活のなかで年齢に応じてできることを子どもにお手伝いとしてきちんと果たしていけるように「責任」を教えること。
子どもが、自分で生活に必要なことができる力を養っていかなければ、「自立」して生きていくことができません。そうなってしまうと、「自立心」も育ちません。自分でできる、という自信が「自立心」をはぐくむのです。

第3に、「人の役に立つ喜び」を教えること。親が子どもの役に立つ、というのは、何も子どものためにいろいろとしてあげることばかりではありません。子ども自身が、「人のために役に立つこと」がうれしい、という気持ちを感じられるような考えと行動を教えていくことが、自分の力を伸ばし、社会で生きていくうえで、大きな力になることを親は教えていくべきである、ということを主張されています。

そうしたことを踏まえて、この本では、親がコーチとしてのあり方を学び、親自身が成長することによって、子どもの「生きる力」も育まれていく、と述べております。
私も、長男がこの4月から就職し、下の娘も20歳を過ぎて、子育てがほぼ終わりました。
子どもに何かを教える、という「上から目線」だと、子どもは小さい年齢であっても、決して親のいいなりにはなりません。
そうではなく、同じ一個の人格をもった存在として尊重しながら、そしてわが子として愛情を絶やすことなく、接していく、というのは、思ったほど簡単なことではありません。
親もわがままな人間ですから、子どもへの愛情が消えかかるときもあるのです。

ともかく、親は子どもの「人生の先輩」であるわけですから、先輩として子どもの力を引き出す「コーチ役」になるべきだ、という菅原さんの主張にはおおいに共感します。
そして、私も、そのように「コーチ役」に徹して、強い忍耐をもちながら、子どもの成長から目を離さずにじっと見守っていたならば、子どもにもっとよい人生を歩んでもらえたかもしれない、とふと後悔しております。

まあ、人生とは後悔の連続である、という言葉がありますが、なかでも子育ては後悔の連続だと思います。
そのなかで、親がどれだけ子どもとともに成長していくか、が問われているのが、子育てだと思います。
子どもは、どんなに小さくても、非常に敏感で鋭い感性を持っています。
大人がいいかげんな人間だと、当然ながら、心の中ではバカにして相手にしなくなります。
大人自身の言葉と振る舞いが、そのまま子育てに反映するので、もっとも難しいのかもしれません。

しかし、人生80年といわれるようになった現代では、そのなかで子育ての期間というのは20年しかありません。人生のたったの4分の1にすぎません。
いや、実際には子どもが生まれた0歳から思春期の12歳前後までの期間が、本当の子育ての期間ですから、もっと短い期間にすぎません。
そして、この子育ては、子どもにとっては人生を決定づける重要な期間ですが、親にとっても、二度とない貴重な時間であることを、親はもっと自覚すべきではないか、と思います。
これは、子育てが終わって、たくさんの後悔をした人間である私の正直な感想です。

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