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「財政再建のための増税は、必ず失敗する」(アルバート・アレシナ米ハーバード大学教授)

現在、「社会保障と税の一体改革」という名の「消費税増税法案」が国会に上程されようとしています。
世論調査では、社会保障の財源不足を補うため、あるいは財政収支の改善のために、消費税増税やむなし、という人も少なくないようです。

しかし、私は現在の日本経済の状況をみたとき、消費税増税はおこなうべきではない、と考えており、平成26年4月に8%、平成27年10月から10%に消費税を引き上げることに対して、反対です。
そもそも「社会保障と税の一体改革」という名前に反して、「社会保障とは別々に消費税増税のみを明確にする」野田総理のやり方は、完全に財務省のいいなりになっていて、間違ったやり方であるといわざるをえません。

なぜ間違っているのか、というと、その理由は、以下のとおりです。
まず第一に、「社会保障と税」という名称を使うことによって、社会保障の財源不足を補うという「大義名分」で消費税をあげよう、という意図を明示しているのでしょうが、消費税を現在の5%から10%にあげても、政府自体が認めているように、そのうち4%は「現状維持」つまり財政赤字による通常の経費の不足分に充てられることになり、わずか1%分しか社会保障に充てられない、ということ。
第二、公明党の山口代表を中心にわが党が常々主張しているとおり、社会保障の全体像を示さずに消費税増税ありき、になっており、これでは社会保障のために実際に財源がいくら必要であり、その財源がいくら不足しており、そして、その財源不足を埋めるために税制全体の改革のなかで消費税の税率をどうするか、という全体観のうえでの議論ではないこと。
第三に、上記の1,2の理由で明らかなように、今回の消費税増税は、実は「社会保障との一体改革」ではまったくなくて、単に「財政収支の改善」のための措置である、ということです。
そして、私が声を大にして訴えたいのは、この「財政収支の改善」のために、増税をおこなうことは「大きな誤り」である、ということです。

これは、かつてアメリカのハーバード大学のアルバート・アレシナ教授が、さまざまな国の財政再建のケースを分析した結果、最初に増税した国は必ず失敗している、という結論を出していることを思えば、容易にわかるはずです。
日本は、まさにその失敗例として名を連ねようとしています。
かつて自公政権時代、2003年にプライマリーバランス(基礎的財政収支)が28.4兆円から、2007年に6.4兆円へと22兆円も縮小させたことがありました。
この財政収支の大幅な改善は、ご承知のとおり、増税によって成し遂げたものではありませんでした。
当時、左翼系の政党や識者、マスコミ〈朝日系列)などから批判を浴びせられた「小泉構造改革」(郵政改革もその一環でした)によって、歳出を圧縮するとともに、経済が活性化したことによって、税収が増加し、こうした「歳出削減・歳入増」によって、プライマリー・バランスが22兆円も改善したわけです。
この22兆円は、消費税の税率に換算すると、約9%分に相当します。

つまり、財政収支の改善は、増税によって成し遂げるべきものではなく、経済の回復による「税収増」と、思い切った「歳出削減」によって成し遂げるべきものなのです。
ところが、野田内閣は消費税を5%税率アップすることによって、13兆円の税収増をもくろんでおります。
これによって、平成27年〈2015年)にプライマリーバランスの赤字の半減化という、財務省の財政再建目標を成し遂げよう、というわけです。
この「増税による財政再建」は、現在のデフレ化にある日本経済では、「絵に描いた餅」になる危険性が大です。

実際に、平成9年、消費税をそれまでの3%から5%に引き上げたとき、その翌年の税収は53兆円から49.7兆円へと大きく落ち込み、さらその翌年には、47兆円と税収は2年続けて落ち込みました。
このように、消費税を引き上げて税収増をはかっても、経済が回復して元気な状態でなければ、税収増どころか、税収減になってしまうのです。
何度もいうように、現在デフレ化の日本経済で消費税増税をおこなえば、平成9年の消費税アップの二の舞となって税収減になってしまうリスクが大きいことは、冷静に考えれば、わかることだと思います。

さらにいえば、2009年から民主党政権による予算編成がおこなわれるようになってからというもの、マニフェストによるばらまきを新規の国債発行に頼っておこなったため、予算規模が史上最大にふくれあがり、国債発行額も史上最高を更新しました。
このようにふくれあがった歳出を削減することのほうが、増税よりも急務であると思います。
マニフェストで威勢よくうたっていた「むだをなくして16兆円の財源を生み出す」ということができず、歳出がふくれあがり、財政収支を悪化させた民主党政権は、そのことを素直に認め、国民に詫びなければなりません。
そうした謝罪なしに、国民に増税という負担を押し付けているのです。
まるで自分たちの失敗を知らんふりして、「いま、消費税増税はやらなければならない」などと誤魔化しているのです。
そのようなことを、よくもぬけぬけと言うものだと、その神経が私には信じられないし、許せません。

国家の経済運営の基本として、財政再建を考える時は、順序として、まず「経済と財政の一体改革」を考えるべきであり、そして経済が回復してきたら、今度は「歳入と歳出の一体改革」をおこない、そのなかで、歳入の1つである消費税を含めた歳入全体のあり方と、歳出の1つである社会保障を含めた歳出のあり方とを一体で考えるべきなのです。
そのうえで、消費税の税率があげるべきであるならば、何%が妥当なのか、をよく検討して決めていくべきです。
そうでなければ、今のやり方では、消費税を10%に引き上げたあとに、またさらに税率アップをにおわせている政府のやり方では、日本の経済も財政もめちゃくちゃになるのは間違いありません。
だから、いまの消費税増税法案に対して、私は大反対なのです。

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