ブログ

「腹八分」は「最もお金のかからない健康法」

本日の日経新聞の「NIKKEIプラス1」で、「何でもランキング」のテーマとして取り上げられていたのは、「60歳までにやっておけばよかったこと」でした。
「お金」「健康」「人間関係」の3つの分野ごとに、1位から5位までのランキングが掲載されていたのですが、そのなかの「健康」の第1位は「腹八分目。大食い・大酒をしない」となっていました。

以前、本欄で食事と健康の関係について、疫学的に実証されていないアヤシイ食事法が世の中にたびたび流行していることについて、東北大学の坪野吉孝教授の著書などを参考にしながら述べたことがありました。
その坪野教授に、かつて雑誌の仕事をしていた時代に直接会って、お話しをうかがったときに、このように話していたのが大変印象深く残っています。
「何を食べれば健康によいとか、生活習慣病やがんになりにくい、という食事に気を使うよりも、喫煙をやめることのほうが、そうした病気になるリスクを小さくするうえでははるかに効果的であること」
「そして、健康によいものを食べることを心がける以上に健康にとって大きなプラスとなるのは、食べ過ぎないこと=腹八分の食事を心がけること」
という話でした。

本日の日経新聞の記事は、まさにこのことと合致する内容だったので、興味深く目に留まった次第です。
考えてみれば、「医食同源」という言葉があるとおり、健康と食事とは密接な関係があります。
そして、食事で大切なことは「何を食べればよいか」ということではなく、当たり前ですがすべての栄養素をまんべんなくバランスよく食べる、ということです。
どれか1つだけを過剰に食べることは、かえって栄養バランスを崩し、健康を損ねることは、女子栄養大学の副学長である香川靖雄氏も主張しているとおりです。
要するに、季節の旬のものを中心に、主食・主菜・副菜・乳製品・果物をバランスよく適量をとればよい、ということです。

そのうえで、香川靖雄氏は、かつてテレビ番組のなかで「時間栄養学」にもとづいた知見を紹介されていました。
時間栄養学とは、たとえば脂肪が吸収されやすい時間帯とされにくい時間帯がある、というようなことです。
脂肪分の多い食事をするときは、お昼前後の時間帯の吸収率は一日のなかで一番低く、それが夜10時以降になると40倍以上にはねあがるので、夜遅い時間帯に脂っこいものを食べるのは避けたほうがよい。
ステーキやカツ丼などを食べるならば、夜ではなくお昼に食べればよい、ということです。
同様な理屈で、夜寝る前の3時間は食事を避けて、寝る時には空腹を感じるぐらいで寝るのがちょうどよいのです。
そうすれば、体脂肪が増えにくくなるからです。
たとえ一日の食事の総量が少なくても、寝る前に食べる人は体脂肪が増えやすいのはそのためです。

こうしたことを踏まえたうえで、香川靖雄氏にも私が直接取材でお会いしたときにおっしゃっていたのは、「食べ過ぎないこと、つまり腹八分の食事が重要」であることをおっしゃっていました。
この腹八分ということは、あまりにも当たり前すぎて、多くの人は、その重要性を見過ごしがちだと思いますが、しかし、健康のことを考えるならば、どんなものを食べるか、ということ以上に大事なことであることが科学的にも立証されていることなのです。
私も、最近体重がやや増加気味であり、特に体脂肪が標準のなかでもやや多い傾向にあるので、「腹八分」を心がけていきたいと思います。
腹八分を実践するためには、満腹を感じる前に、「ごちそうさま」をすることなので、ちょっと辛いのですが、それに慣れなければなりません。
また、「食事を残すのはもったいない」という考えを捨てて、平気で残せるようにならなければなりません。
外食ならば、誰も文句を言いませんが、自宅の食事でそれをおこなうと家族に非難を浴びてしまいます。
ですから、自宅では最初からご飯の量を半分にしてもらっています。

40歳を超えたら、代謝率ががくんと下がるので、それまでと同じ量を食べていたら、確実に太るしコレステロールや中性脂肪もどんどん増えていきます。
しかし、「腹八分」を実践していけば、60代、70代になっていったときに、心臓病や脳卒中で倒れたり、がんになるリスクをぐんと下げることができます。
その意味では、「腹八分」は「最もお金のかからない健康法」といえるのではないか、と思います。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP